Parting tears
 そのお陰で、一斉に窓の外に視線を向けたが、暗いため、よく見えなかった。

 すると、美久が笑いだした。


「暗くで見えないんだけど。和哉って目いいの? 結麻も目いいんだよ。確か両目二、〇だったよね」


「結麻のあだ名、今日からサンコンな」


 すかさず隼人が私にそう云って笑ったので、車内は笑いの渦に包まれた。和哉も笑っている。

 そういえば、美久は和哉って呼び捨てにしているけれど、元々知り合いなのかなと疑問に思った。美久が知り合ったばかりの人を呼び捨てにしているのなんて、今まで聞いたことがない。


「美久、和哉君と知り合いなの?」


「あれ、云わなかったっけ? 隼人と今西と和哉は私同じ小学校なんだよね」


 それは初耳だった。だから呼び捨てだったのか、納得。

 
「おい、そろそろ到着だ」


 今西の云う通り、真っ暗な海が広がっている。

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