Parting tears
第十五話 四年振りの再会
 和哉と別れてから四年あまりの月日が流れた。

 どこかでバッタリ会うこともなく、私は転勤で他の県に引越す直前だった。

 そんな時、突然自宅の電話に和哉から電話がかかってきたのだ。


「もしもし、俺だけど分かる?」


「和哉でしょ? 分かるよ」


 四年振りに聞いた和哉の声は、昔と変わらず綺麗で端整な顔が目に浮かぶ。

 それから始めはぎこちなかったのだが、いつの間にか、昔の思い出話しなどをした。


「結麻は相変わらず、明るそうだね。ピアノは弾いてる?」


「ううん。もう弾いてないよ。和哉は?」


「俺も、結麻と別れてからは全然。あの頃よく二人で弾いたよな。あと『ボン』のグッズ集めてたよな」


「そうそう、和哉はシール集めてくれたり、UFOキャッチャーでよく取ってくれたよね」


 懐かしい。昔のように色々な話しをした。けれども裏工作をされていた事実を、和哉が知っていたか分からなかったので、私は敢えてその話題には触れなかった。話したところで、あの頃信じ合えなかった私達が、変わるわけではないと思ったから。

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