Parting tears
第二話 海で対面
 私達は、海岸に下りる階段に腰掛けた。

 海は真っ暗でよく見えないが、他に誰も居らず、私達しかいないことが妙に嬉しくて、はしゃいでいたのを覚えている。

 寒さを忘れるくらいテンションも高かった。

 そして、私はようやく和哉の顔を見たのである。和哉は横顔から想像した通り、端整な顔をしていた。少したれ気味の大きな目に、鼻は高かく、綺麗という言葉が似合う人だった。

 しかし、その時の私は特に何も考えていなかったので、皆との話しに盛り上がり、車の運転について一番興味があった。何故なら、私と美久は車庫入れが下手なので、今西の先程の車庫入れに対し、絶賛していたのである。


「今西君、車庫入れ練習したの? 免許取ったの私と美久より少し早いだけなのに、上手いよね」


「俺は兄貴の車で練習してたから、中学の時から出来るぜ」


 中学の時から練習してたのかと驚いた。しかし美久の興味は逸れていたようで、


「今西の兄貴って超カッコイイよね。でも彼女いたっけ?」


「いるよ。大分付き合って長いんじゃね~か」


 すると、隼人も今西の兄貴を知っているようだった。


「そういえば今西の兄貴と和哉の兄貴って、同級生だよな?」


 和哉にも兄貴がいるのかと話しを聞いていると、和哉は「まあな」と苦笑している。あまり兄貴の話しに触れて欲しくないのかもしれない。そんなふうに見えた。
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