午前0時のシンデレラ
半ば呆れてそう言いかけると、柳が急に真顔になってあたしを見るから。
…だから、心臓が掴まれたみたいな感覚になった。
「噂通りなのか、って。噂通りなら…俺が変えてみせよう、ってね」
次の瞬間、真剣さは欠片も残っていなくて。
代わりに見せた表情は、思わず喉を鳴らすほど、妖しい笑みだった。
「な…に、それ」
変えてみせようって、意味がわからない。
「ま、俺色に染めてやる、みたいな?」
あたしに疑問を投げ掛けながら、にやにやと笑う柳。
絶対、性格悪すぎる。
俺色に染めるって何それ、気持ち悪い!!
あからさまに顔を歪ませたあたしの頭を、柳は問題集でパシッと叩いた。
「痛っ!! 暴力反対!!」
「いつまでも俺に見とれない。はい、さっさとやり直ししろよ」
「見とっ…!? うざいって顔してたつもりなんだけど!!」
「…本人相手に言っていいのか、それ」