午前0時のシンデレラ
…もう、なんなの。
何であたしが、こんな胡散臭い二重人格のやつに世話されなきゃなんないの。
しぶしぶとペンに手を伸ばし、問題集を開く。
羅列された数字に嫌気がさし、ため息をついた。
「…無理。飽きた。やりたくない」
「…あのなぁ。さっきから1問も終わってないんだけど」
呆れたように言う柳に、あたしは僅かに視線を向ける。
「だって数学をやる意味がわかんない」
やる気のないあたしの発言に、柳は信じられない答えを返してきた。
「意味なんてないよ」
その答えに、あたしは思わず目を丸くした。
「…は?何言ってんの」
「意味なんて俺にもわかんねぇし」
問題集をパラパラと捲りながら、平然と言う柳に、あたしは眉をひそめた。
「あんた…わけわかんない」
「ははっ、そんな目で見るなよ」
柳は笑いながら、あたしに視線を向けた。
「たださ、生きてく中で、あのとき学んでおけば…って後悔すんの嫌じゃん?」