午前0時のシンデレラ
自信に満ちた表情で、柳は言葉を続けた。
「お前の負担を減らすことなら、俺にだってできる」
「………」
全く、どうして根拠のないことを、こんなに自信満々で言えるの。
相変わらずの柳に、あたしは呆れてしまった。
「お前がシンデレラなら、ガラスの靴を置いていった状態だな」
「何言ってんの」
また始まった、柳の訳の分からない例えに、あたしはため息をつきながらも耳を傾けた。
「自分が元の姿になることを恐れて、慌てて逃げる。気付かないうちに、ガラスの靴を置いていく」
「………」
「ガラスの靴は、本当の自分を見つけて欲しいっていう、心の現れなんだよ」
本当の、自分―――…
「物語の中じゃ、その靴のおかげで王子はシンデレラを見つけられただろ?」
得意気に語る柳に、あたしは「ふぅん」と気のない返事を返した。
…心の奥で、心臓がどくんどくんと鼓動を速めているのに、気づきながら。