午前0時のシンデレラ
あたしの態度に、柳は面白くなさそうに顔をしかめた。
「何だよ、俺がそのガラスの靴を拾ってやろうとしてるんだぞ?」
「結構です。柳が王子様なんて死んでも嫌」
迷わず答えたあたしに、柳は苦笑した。
「俺にしか、その役は務まらないって思ったけど?」
「自惚れないで。あんたはせいぜい魔法使いで十分よ」
…もう、魔法をたくさんかけられてるんだから。
心の中でそう付け加え、あたしは改めて柳を見る。
「…っていうか、結局あんたのことよく分からなかったんだけど!」
気付けばあたしの話ばっかりで、知られたくなかった心の闇まで見透かされて。
なのに柳のことは何も分からないなんて、ずるすぎる。
あたしの文句に、柳はしれっと言い放った。
「俺はせいぜい魔法使いなんだろ?魔法使いのことなんか、シンデレラは知る必要はない」
「………」
あたしよりも、柳の方がいじっぱりでしょ。