午前0時のシンデレラ
そこには、満面の笑みを浮かべた柳がいた。
「そうですか普通ですか。それでは1時間後に玄関前で会いましょう」
…目が、全く笑ってないけど。
こめかみに怒りマークが見える気がするけど。
柳はくるりとあたしに背を向け、扉に手をかけたところで振り返った。
「逃げたら地獄の果てまで追い回しますからね?」
その怒りの笑顔に圧倒され、返事が出来ないうちに扉が閉まった。
…遊園地に行くことに、決まったみたい…
1時間後、支度を終えたあたしは渋々玄関へ向かうと、すでに柳が待っていた。
「ちゃんと来ましたね」
「…あんなこと言われたら、逃げる気失せるわよ」
「それは良かった」
「良くないっ!」
柳に促され、あたしは嫌々ながら車に乗り込むと、妙な緊張感に襲われた。
柳は運転席に座ると、エンジンをかけた。