午前0時のシンデレラ
ゴンドラから降りると、外の賑やかな空気にホッとした。
「…よし!帰りましょう!」
「そんな気合い入れんなよ」
苦笑されたけど、あたしは早く早く、と柳を急かした。
楽しくないわけじゃない。
楽しいけど…このまま2人でいたら、何かが変わってしまいそうな気がして怖い。
「もう、早くっ…」
「きゃっ!」
誰かとぶつかって、あたしは前のめりに倒れた。
慌てて体を起こし、相手を確認する。
「ご、ごめんなさ…」
「いえ、こちらこ…」
お互いの姿を確認した瞬間、あたしも相手も固まってしまった。
だって、無理もない。
…同じ顔が、あたしを見つめているんだから。
その異様な空間に響いたのは、
「―――…樹里亜?」
柳の、驚いたような声だった。
ねぇ、柳。
あんたはやっぱり、心に鍵をかけていたんだね。
あたしには開くことが出来ない、心の扉の鍵を―――…