午前0時のシンデレラ


*‥‥‥‥‥


耳元で、小さなアラームが鳴る。


「―――ん…」


重たい瞼を押し上げると、反射的に手が伸びる。


小さなボタンを押すと、音が鳴りやんだ。



時計を両手で掴んで、あたしは時刻を確認する。


―――23時55分。


あと少しで、午前0時。



いつものようにガウンを羽織り、窓を開ける。


外に誰もいないのを確認して、窓枠に足をかけた。



一瞬、ほんの一瞬だけ、柳の顔が浮かんだ。


ここを抜け出したら、また昨日みたいに…あたしを待ち構えてる気がして。


「…てゆうか、あいつ何であんなとこにいたのよ」


ぽつりと疑問を漏らすと、嫌な考えを振り払って一気に跳躍した。


木々の間をすり抜けて、なめらかに地面に着地する。



毎日のように繰り返されるこの動作には、もう慣れっこだった。


嫌な予感が当たらないように願いながら、あたしはゆっくりと顔を上げた。


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