午前0時のシンデレラ
11.シンデレラ
朝、起きてすぐ頭に浮かんだのは、あなたの顔でした。
「―――――柳っ!」
勢いよく開いたのは、柳の部屋の扉。
…違う。柳の部屋"だった"。
「……何、で…?」
そこにはもう、柳の面影はない。
部屋には、何1つなかった。
家具も…柳自身も。
「………っ、」
嫌な予感がしたの。
昨日の夢は、夢じゃないんじゃないか、って。
起きたら、身体にブランケットが掛けてあって。
花丸が書かれた大きな紙が、あたしの目の前にあった。
だったらあの優しいキスも、夢じゃない…?
「~~~バカ!」
あたしは花丸の紙を握りしめると、乱暴に部屋の扉を閉めた。
ちょうどその時、
「―――…咲良」
パパが、あたしの名前を呼んだ。
「パパ…」
ちょうど良かった。
これから、パパに会いに行こうと思ってたから。