午前0時のシンデレラ
そして泉さんは…あたしの、大好きなひと。
「…咲良さん?」
「あ、えっ、はい!すみません!」
急に近くで顔を覗き込まれ、つい挙動不審になったあたしを、泉さんが笑う。
「謝らなくていいのに。ぼーっとしてたから、どうしたのかなって」
…あなたに見とれてたなんて、言えません。
「もしかして疲れてる?」
「…少しだけ」
「そっか、何か淹れるよ。座って」
本当のことを言えなくて、嘘をついた。
でも、嘘じゃないかも。
柳の相手をして、若干疲れたかもしれない。
泉さんにもう一度促され、あたしはカウンター席に着く。
そして、コーヒーを淹れる泉さんの後ろ姿を眺めた。
後ろ姿もかっこいいなぁ、泉さん…
「あ、そういえば」
急に振り返った泉さんに、あたしは少し驚いてから口を開いた。
「…ど、どうしたんですか?」
「昨日来なかったよね?何かあったのかなって思って」