午前0時のシンデレラ
それに、昨日のことが夢じゃないなら。
『―――サヨナラだ、咲良』
柳の言葉も、夢じゃないんだ。
「…咲良」
パパに名前を呼ばれ、あたしは顔を上げる。
「咲良が柳くんを連れ戻したいなら、それで構わない。他の世話係を雇いたいなら、早急に手配しよう」
「…あたしは」
あたしは、どうしたい…?
「…ごめんパパ。暫く1人でいたい」
あたしの言葉に、パパは微笑んで頷いた。
分からない。あたしはどうすればいいのか。
柳―――――…。
何もできないまま、2週間が過ぎた。
柳が今どこで何をしているのか、元気なのか、全く分からない。
ただあたしは、
「ここでХに3を代入して…」
毎日勉強を繰り返していた。
やることがないから、勉強をする。ただそれだけ。
おかげで、数学は解き方が分かってきた。