午前0時のシンデレラ
「…笑い事じゃないです、泉さん」
「あはは、ごめん。咲良さんが面白くて」
あたしと話している間に出来上がったのか、泉さんは可愛いマグカップをあたしの前に置いた。
湯気に乗って、コーヒーのいい香りが鼻に届く。
「いただきます」
「うん、冷めないうちにどうぞ」
泉さんの笑顔に微笑み返しながら、あたしは温かいコーヒーを口に運んだ。
少し冷えていた身体が、すぐにポカポカと温まる。
「どう?」
「泉さんのコーヒーは、いつもおいしいですよ」
少し照れたように笑った泉さんは、5つも歳上だと思えなくて、少し可愛い。
あたしの心を、いつも泉さんは癒してくれる。
泉さんといると、あたしは素直になれるの。
他愛ない話をしていると、壁掛け時計が目に入った。
「あ…もう2時」
「本当だ。咲良さん、そろそろ帰らなきゃね」