午前0時のシンデレラ
…また、やってしまった。
柳が戻って来てからというものの、これといって甘い雰囲気になったことは皆無。
そんな急にベタベタになっても困るけど、乙女としては、それなりにイチャイチャしたかったりする。
…なのに、あの男。
キスどころか、手を繋ぐことさえしてこないのよ!?
「………はあ…」
もしかして、両想いっていうのはあたしの勘違いなの?
あの告白は、聞き間違いだった…?
じわり、と目頭が熱くなる。
考えるのも嫌になって、扉から離れようとした…そのとき。
「きゃっ!?」
突然扉が開き、あたしは後ろから伸びてきた腕に捕まえられた。
そのまま身体を抱き寄せられ、目の前で扉が静かに閉まった。
「…悪かったよ」
小さく呟かれた言葉が、耳をくすぐる。
あたしの心臓の鼓動は、徐々に速まってきていた。
「…っ、柳…」
久しぶりの柳の温もりに、あたしは戸惑った。
いざこういうことをされると、どうしたらいいのか分からなくなる。