午前0時のシンデレラ
「大丈夫だ。校外学習だから」
「校外学習って…ちょっと!」
あと一歩で部屋の外に出るところで、あたしは踏み止まった。
柳はため息をついてからあたしを見る。
「だから、数学とかじゃねぇって…」
「違うわよ!服!」
寝間着のままだし、こんなボサボサの髪で外に出るのも嫌!
目で訴えるあたしに、柳は肩をすくめた。
「仕方ない。10分だけ…」
「無理。30分」
「…絶対だぞ」
即答で拒否したあたしに、柳はそう言って苦笑しながら部屋を出た。
パタン、と扉が閉まった瞬間、部屋が静かになる。
「…うざい」
ぽつりと、そう呟く。
乙女の部屋に勝手に入るなんて問題外だし。
朝っぱらから校外学習って意味わかんないし。
会ってからまだ2日しか経ってないのに、振り回されすぎて嫌になる。