午前0時のシンデレラ

しかも柳は運転下手くそだし。

さっきからガタガタうるさい。


脱出はもう諦めたけど、車がだんだん森を抜け、街並が見えてくるにつれて、あたしは不機嫌になっていく。


「…何でそんなに街が嫌なんだよ」


ふと視線を前に戻すと、中央のミラー越しに柳と視線が合った。


それが嫌で、あたしはすぐに視線を逸らす。


「嫌なものは嫌。あたしは街が合わないの」


「はは、確かに。お前には森のが似合うよな」


「…何それ。またサルだとか言いたいわけ?」


柳が笑うから頭にきて、今度はあたしからミラー越しに視線を合わせ、キッと睨んだ。


柳はまた笑うと、ハンドルを切って右折する。


「いや、雰囲気的に。…お前、誰かと騒ぐより1人でいたいタイプかなって」


一瞬、言葉を失った。


けどそれを悟られないように、すぐに口を開く。


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