午前0時のシンデレラ
2.魔法の言葉
「………は?」
あたしの不機嫌な声が、部屋に響く。
いやだって、不機嫌になるにきまってる。
胡散臭い世話係がつくし。
その当本人が、目の前でわけわかんないこと言うから。
「だから、こんな問題もわかんねぇの?」
面倒くさそうにもう一度言い直したのは、間違いなく柳のはず。
でも…何?
「…はぁ。思ったより手強い…や、バカだな」
ため息つかれたこととか。
バカよばわりされたこととか。
それは今は置いといていいとして。
「…あんた誰?」
「柳 睦臣ですが何か」
いやいやいや、違う。
明らかにパパの前と態度が違う。
もしかして、これって…
「―――に、二重人格!?」
イスがひっくり返るほど勢いよく立ち上がったあたしに、柳は顔をしかめた。
「本当騒がしいな。…ONとOFFの切り替えが上手いって言えよ」
認めた。
二重人格って、認めた。