午前0時のシンデレラ
「俺さぁ…本気でお前の下僕になった気がしてきた」
「あら、それはよかった」
「よくねぇよ」
苦笑しながら歩き出す柳に、あたしは大人しくついていく。
…誰かと手を繋いだのなんて、いつぶりだろう。
そんなことを考えながら、屋敷へと向かう。
屋敷へ着くまで、あたしたちは一言も話さなかった。
けど、それが嫌だとは不思議と思わなかった。
途中、屋敷での柳の態度を思い出して、問いかけようとしたけど。
それを訊いたら、何かが変わっちゃうような気がして…訊けなかった。
…ねぇ、柳。
あたしはあんたが、だんだん魔法使いみたいに思えてきたよ。
もっと、もっと、魔法をかけて。
雨が降るあたしの心に、虹が架けられるくらいに。
―――あたしに、愛をください。