午前0時のシンデレラ
5.舞踏会
―――――夢を見た。
あたしは、すごいお金持ちのお嬢様で、大きなお屋敷で暮らしているの。
好きなものは何でも買って貰えるし、食事は毎日豪華。
身の回りの世話は何人もの執事やメイドがやってくれて、毎日家族と笑って過ごしていた。
夢の中のあたしは、幸せそうに笑っていて。
ここがあたしの居場所なんだと、安心していた。
…けど、その幸せは一瞬で。
一人、また一人と、屋敷から人がいなくなっていく。
―――――行かないで!
そう叫んだのに、誰も振り返ってはくれない。
手を伸ばしても、誰も掴んではくれない。
あたしはただ、その後ろ姿を見ていることしかできなかった。
大きな大きなお屋敷に、小さな小さなあたし。
幸せは、いつの間にか絶望に変わっていた。
独り取り残されたあたしは、静かに涙を流した―――…