午前0時のシンデレラ
「まぁ、確かにお前んちは裕福だと思うよ。こんな森の奥に、でかい屋敷だし」
あたしの家は、自分で言うのもなんだけど…お金持ちの部類に入る。
森の奥にお屋敷を建てたのは、パパの気まぐれだけど。
執事なんて名前も覚えられないくらい(覚える気ないけど)たくさんいるし、あたしは「お嬢さま」なんて呼ばれてる。
だから、それを狙ってこんな森の奥まで来るやつもたくさんいた。
…だから、柳もそうだと思った。
「つーか、街中じゃお前の噂飛び交ってるしな」
「は?」
思わず顔をしかめる。
街になんか滅多に行かないから知らないけど…あたしの、噂?
「ちょっと、何だっていうのよ」
柳に詰め寄ると、柳はにやっと笑いながら口を開いた。
「"森の奥に住むお嬢様は、わがままでやんちゃでサルみたいに木々を飛び回ってる"…ってね」
………はい?