午前0時のシンデレラ

見たくもない姿が、柳のすぐ後ろにあった。


「…お嬢様?」


急に足を止めたあたしに眉をひそめ、柳も踊るのを止めた。


あたしの視線を追うように、柳が振り返る。


「―――やぁ。よく来たな」


妖しく笑ったのは…池田だった。


その姿を見た瞬間、柳があたしを庇うように立ちはだかった。


「何の用です?」


「用って、挨拶をしに来ちゃいけないのか?」


小バカにしたように笑う池田は、あたしに視線を移した。


「お前の世話係、お節介なんじゃないか?」


「放っといて。あんたには関係ないわ」


睨み付けながらそう言うと、池田は肩をすくめる。


「本当、お前は冷たいな。昔はあんなに仲良かったのに」


その言葉に、柳が僅かに反応を示す。


「やめて!昔のことなんて今は関係ないでしょ!?」


「はっ、そう熱くなんなよ」


…ダメ。

池田の声を聞くだけで、イライラする。


< 81 / 200 >

この作品をシェア

pagetop