午前0時のシンデレラ
見たくもない姿が、柳のすぐ後ろにあった。
「…お嬢様?」
急に足を止めたあたしに眉をひそめ、柳も踊るのを止めた。
あたしの視線を追うように、柳が振り返る。
「―――やぁ。よく来たな」
妖しく笑ったのは…池田だった。
その姿を見た瞬間、柳があたしを庇うように立ちはだかった。
「何の用です?」
「用って、挨拶をしに来ちゃいけないのか?」
小バカにしたように笑う池田は、あたしに視線を移した。
「お前の世話係、お節介なんじゃないか?」
「放っといて。あんたには関係ないわ」
睨み付けながらそう言うと、池田は肩をすくめる。
「本当、お前は冷たいな。昔はあんなに仲良かったのに」
その言葉に、柳が僅かに反応を示す。
「やめて!昔のことなんて今は関係ないでしょ!?」
「はっ、そう熱くなんなよ」
…ダメ。
池田の声を聞くだけで、イライラする。