午前0時のシンデレラ
怒鳴りつけたい気持ちを、ぐっと堪えた。
池田が主催のパーティーで、騒動を起こすのはさすがにまずい。
あたしはどうなってもいいけど…パパの立場もある。
「…もう挨拶は済んだでしょ。行きましょう、柳」
もう一度池田を睨み付けると、あたしは柳の腕を引っ張って歩き出す。
そんなあたしの足を止めたのは、最悪な言葉だった。
「―――元彼にそんな態度取るんだ?咲良」
…何、を。
今この男は、何を言ったの?
「悲しいな。昔はあんなに愛し合ってたのに」
その笑みを見た瞬間、あたしの中で何かが切れた。
「―――ふざけないでっ!」
あたしの大声が、音楽を押し退けて一際大きく響く。
「あんたを愛したことなんか一度もない!二度とあたしの名前を呼ばないで!」
「…お嬢様!」
柳が焦った顔で、あたしの手を引いた。