午前0時のシンデレラ
6.召し使い
あたしの家は、元は街の中にあった。
池田の屋敷と隣り合わせに建っていて、あたしと池田はいわゆる幼馴染み。
小さい頃は毎日のように二人で遊んで、それなりに楽しかった。
小、中学校も一緒で、何故か同じところを受験して、高校も一緒。
他の人から見たらお金持ちだったあたしたちは、嫌でも同級生から好奇の視線を向けられた。
それでも、友達はいて。
池田とも普通に遊ぶから、男友達もそれなりにいた。
普通の、平凡な高校生活を過ごしていた。
…ううん。
そう思ってただけだった。
あたしに"普通"の生活が、できるはずなかったんだ。
ある日突然、あたしの周りに変化が起きた。
持ち物がなくなったかと思えば、あるはずのない場所から見つかった。
靴はゴミ箱の中、体操服はトイレの便器の中。
仲が良かった友達は、あたしの全てを無視し始めた。
…典型的な、いじめだった。