午前0時のシンデレラ
わけがわからずに戸惑うあたしに、池田は笑顔を見せる。
…嘘の、笑顔を。
「咲良。こいつらの相手してやってよ」
何を言ってるのか、わからなかった。
池田はそんなあたしの背中を、友達の方へ向かって押す。
「ちょっ…、何なの!?」
池田はあたしを見ずに、ニヤニヤした笑みを浮かべる友達に向けて口を開いた。
「こいつ好きにしていいよ。俺はもう飽きたから」
その瞳に、ぞくりとした。
池田の友達が、じりじりとあたしに近付いて来る。
逃げようとしても、池田があたしの腕を掴んでいた。
「光っ…、どういうことよ!?」
池田は冷ややかな視線であたしを捉えると、ため息をついた。
「まだわかんねぇの?全部、お前を手に入れる為の芝居だったんだよ」
「芝、居…?」
「お前をいじめるように仕組んだのも俺だけど、気づかなかった?」
当たり前のように吐き出される言葉に、目眩がした。