午前0時のシンデレラ
「なっ…、なんなのよその噂!!」
「当たってんじゃん」
けらけらと笑う柳に、余計に腹が立つ。
当たってるって…わがままでやんちゃで、サルだっていうわけ!?
「初めて会ったときも、木から飛び降りてただろ」
「!あれはっ…、」
柳の言葉に反論しかけて、口をつぐむ。
危うく口を滑らせるところだった。
あたしの…大切な秘密を。
「…あれは?何?」
柳の探るような視線から逃れたくて、窓の外に目を向ける。
風が強いのか、木々がざわざわと揺れていた。
「…別に。そうよ、木から飛び降りてただけよ」
嘘の言葉を呟いて、あたしは柳に向き直る。
「で?結局あんたがあたしの世話係になった目的はなんなの」
柳はしばらくあたしを観察してから、肩をすくめた。
「目的なんかないって。ただ、お嬢様が気になっただけ」
「あのねぇ…」