大好きな君にエールを





「麻帆ったら照れてんのかぁ?」


ケラケラ笑いながら冷やかす春。春と麻帆は小さい頃からの知り合い。いわゆる幼なじみ。だから春は『麻帆』と麻帆は……


「は、春貴のばかっ!」


『春貴』と呼ぶ。なんで春だけ呼び捨て?俺は『荒嶋くん』だったじゃねぇか。


今は『荒ちゃん』だけどな。まぁ……こんなこと言っても仕方ねぇんだけど。


「麻帆」


俺は麻帆の肩を引き寄せた。麻帆はびっくりした顔で見る。同じく高石も春も。


「高石、撮って」


了解っと手をあげてカメラを構えた高石。そして俺はカメラを見たまま一言。



「ムカつくんだっつーの。俺の目の前で春と話すの」


「え?それって……」


「わかってんなら妬かせんな」



「撮るよー!3、2……


1っ!」


カシャッ。






麻帆、俺行ってくる。


だけど、俺のこと忘れんなよ?



────ずっと、待っててくれよな。



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