大好きな君にエールを
『俺、花龍に戻って麻帆に甲子園を見せるために頑張るからな。だから、麻帆も歯悔いしばって練習に打ち込めよ。また帰ってくる時に連絡する。』
そこまで読んで、あたしはケータイを握りしめたまま目を瞑った。涙が止まらない。離れたくない思いが溢れ出すよ。
あたしのため……荒ちゃんのため。たくさんの目標を背負って荒ちゃんは再び旅立とうとしている。ねぇ、あたしには何が出来る?
そして最後の行を読んだ。
『俺は毎日、大好きな君にエールを送る』
あたしだって送る。あたしに出来ることは、荒ちゃんに負けないくらいに荒ちゃんにエールを送ること。
今の……遠距離のあたしにはそれが精一杯。
『あたしも大好きな君にエールを送ります』
と返信してケータイを閉じた。