大好きな君にエールを




「大袈裟じゃないよっ。マジで言ってるんだもんっ」


そう言って、ぷぅっと頬を膨らますひーちゃんは可愛かった。


「あーっ、荒嶋くんに知らせてあげたいねーっ」


「……うん。だけど」


「連絡手段がないもんね。夏休みに会った時、寮の番号聞かなかったの?」


「すっかり忘れてて……」


あちゃーと自分の頭を叩くひーちゃん。ひーちゃんは悪くないのにな。


「じゃあー仕方ないっ」


そう言って、息を吸い込んで空を見上げたひーちゃんは……


「荒嶋くーんっ!聞こえてますかー?麻帆ってば剣道の大会で3位に入賞しっましーたよー!」


と叫んだ。教室のみんなは一斉にあたし達に注目。あたしは『すみません』と頭を下げる羽目に。



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