大好きな君にエールを
1つ1つボタンを押していく。ボタンを押す手が震えていたと後で永松に聞かされた。
「プルルルル…」
この呼び出し音も何度聞いただろう。いつもドキドキと緊張で。…早く出てくれ…麻帆。
俺の祈りが通じたのか、10回目のコールで…
「…もしもし」
麻帆が出た。いつもとは違い落ち着いた様子だ。
「麻帆、あの…」
「荒ちゃんごめんね」
謝ろうとしたら、先に謝られてしまった。
「荒ちゃんは何も悪くないのに、あ…あたし…八つ当たりしちゃったよぉ…」
麻帆が落ち着いていたのは訂正。落ち着いてたんじゃなくて、涙をこらえていたんだ。