大好きな君にエールを
side*麻帆
今日で最後、か。
何度も自分に言い聞かせて、最後の学校に足を踏み入れたあたし、倉橋麻帆(クラハシアサホ)は、今日で中学校を卒業します。
この景色も風もこの花も、そして
────……あいつのことも。
この場で見られるのは、今日で最後になる。
これからは別々になっちゃう。そう思うとあたしの目に映る景色が滲んできた。
おぉっと、危ない危ない。まだ卒業式も始まってないのに、泣いちゃうなんて。慌てて涙を拭った。
「あーさほぉー!」
3年間お世話になった校舎を見ていると、親友の沙月(サツキ)が目を腫らしながら駆け寄ってきた。
ボブの似合う可愛らしい沙月は、中学ではかなりモテていた。
「麻帆とっ……麻帆と離れたくないよぉ……」
そして何より涙もろい子。この涙に担任の先生は何度頭を抱えただろうか。
「さ、沙月、そ…そんなこと言わないでよぉ」
そしてあたしも涙もろい。きっと3年間一緒にいた楓のが、移っちゃったんだ。