大好きな君にエールを
それから花龍に追加点はなかったが、9回裏をしっかりと守り、3−1で逃げ切った花龍は甲子園出場を決めた。
花龍の校歌が流れた頃に、先輩達からは嬉し涙が見えた。俺も…少しだけ涙ぐんだ。
キャプテンや監督、活躍したシゲさんや他の選手がインタビューを受け終わり、俺達は周りから祝福されながら花龍バスの所へ。
「はっはっは。荒嶋にはポジション譲らなかったぞ!」
乗り込もうとしていた俺に、後ろから陽気な声をかけたシゲさん。
「悔しかったですよ!!出番待っていましたし。でも甲子園ではわかりませんよー」
冗談を言って、バスに乗り込み後ろにいたシゲさんを見た瞬間…
ドサッ
俺は目の前で何が起きたかわからなかった。ただ俺の目に映っていたのは…
「シ…シゲさん?」
エナメルバッグを背負ったまま、倒れていたシゲさんだった。