大好きな君にエールを
あたしはもっと知りたくて、ドアの隙間を覗き込んだ。するとテレビには、校歌を歌う花龍野球部が映っていた。
カメラが選手を1人1人映していく中で、見慣れた顔が映った。
「荒ちゃん…」
荒ちゃんの目が少しうるうるしていたのは、優勝して嬉しかったからかな?でも、懸命に校歌を歌っている姿はすごく格好良かった。
「おい、何をしている」
すると顧問が帰ってきた。あたしは慌てて素早く立った。
「すみません!少し…テレビの内容が気になってしまいましたっ」
バカ正直に話したあたし。怒られると覚悟していたが、顧問はふっと笑い部屋へ入り、言った。
「このチャンネルに興味があるってことは、倉橋は野球が好きなのか?」