大好きな君にエールを
実は前まで、あまり野球のことは知らなかった。だけど…
「いえ、そのテレビに映っている人が好きなんです」
────…アイツが…君がいるから見たくなるんだ。野球を知りたくなったんだ。
「それは花龍のやつか?」
「…まぁそんな感じですかね」
「青春だな」
顧問がふっと笑う。あたしは竹刀を見つめた。
「まぁ恋愛は自由だが、部活に持ち込むような恋愛はしないでくれよ、倉橋」
そう言うと顧問は机に重なった資料の山を片付け始めた。あたしは一礼して練習に戻った。
『そのテレビに映っている人が好きなんです』
なんであんな台詞言っちゃったんだろう。あたしは改めて恥ずかしくなった。
きっと荒ちゃん達の花龍が優勝したから嬉しすぎてつい…言っちゃっただけだよね?