大好きな君にエールを
「茂山がこうなるとハッキリわかっていたら、意地でも荒嶋に替えるべきだったな」
監督はハンドルを回しながら歯を食いしばる。
シゲさんは俺にキャッチャーの座を譲らなかった。それはただ俺に譲りたくなかったわけじゃない。
きっと…自分の体に限界が来ているのがわかってとった行動なんじゃないかって思うんだ。
「でも、シゲさんはどうして倒れたんですかね?日射病じゃないし…最近は大きな怪我もしてないですし…」
「「自転車での事故だ」」
監督と永松が同時に答えた。すると監督が永松に目配せをした。
「冬にシゲさんが自転車で転んだ時があったの覚えてるか?」
俺は記憶の片隅にあったシゲさんが怪我をしたことを思い出した。頭には包帯、そして左腕にも。