大好きな君にエールを





「何が原因だったの?」


「…わかんない。シゲさんのことで悩んでた荒ちゃんを励まして…でもなんだか言い合いに…」


「シゲさんって、昨日あたしが言ったキャッチャーの人だよね?」


そうだ。ひーちゃんからシゲさんが倒れたことを聞いていたから、荒ちゃんから電話が来てもあまり驚かなかったんだ。


「シゲさんってまだ…意識戻ってないんでしょ?」


「…うん。そうらしい…」


今朝お母さんが言ってた。『花龍のキャッチャーのコはまだ意識不明の重体だよ』って。


一瞬にして頭の中に、不安げな荒ちゃんの顔が浮かんだ。シゲさんの名前を呼び続ける荒ちゃんも出てきた。


あたしは必死に荒ちゃんの姿を消した。見たくなかった。


────…あたしが助けてあげられない荒ちゃんを見たくなかったんだ。







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