大好きな君にエールを
──side*麻帆──
荒ちゃんが再び、空いている左手で自分の顔を隠し始めた。また泣いちゃった?
「荒ちゃーん?」
「…お前、あんま泣かせんなよ。後でシゲさんに会いづらくなる」
「え!?あ、な、涙拭くためのタオルがほしいのっ?」
「…あほ。…ったく」
すると今度は荒ちゃんに抱き締められた。あたしよりも何倍も力強い腕で。
「ありがとう。麻帆がいてくれてよかった」
「へっ?あ…うん」
「俺がこんなに泣くなんて、あり得ねーもんな。俺を泣かせるなんて麻帆とシゲさんくらいだな」
「荒ちゃんはシゲさんが大好きだもんねっ?」
「そういうのは尊敬って言えよ。変な意味に捉えられたら困るし。それに、大好きなのはシゲさんじゃなくて…麻帆だから」