大好きな君にエールを





泣いている荒ちゃんが涙声で言ってくれたこの言葉、あたしは一生忘れないよ。


────…


「あーなんだかスッキリしたっ」


しばらく泣き崩れていた荒ちゃんがあたしから離れて、青空に両手を広げた。改めて、荒ちゃんの背中は広いなって思った。


「不安や苦しさを吐いたし、麻帆に謝ることも出来たし。あとは…明日に備えるしかないな」


「明日?」


「あぁ。明日出発するんだ、こっちを。いよいよ甲子園が始まるからなっ」


昨日も今日も練習して、明日も明後日も練習して、それでも悩みは消えなくて。


荒ちゃんはたくさん抱えてたんだろうなって思った。


「試合っていつなの?」


「甲子園が始まって、3日目の3試合目だっけな」


よし、部活が休みだったらテレビに釘付けだなっ。







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