大好きな君にエールを
「ど、どうしたんだよ、こう…」
「なんで言ってくれなかったんですか!?なんで…お前がキャッチャーなんだって言ってくれなかったんですか!?」
さっきまでの荒ちゃんとは違う。あたしに弱音を吐いた時より倍に訴えている。
「康也…もしかして今…」
「聞いてました。俺がキャッチャーになったことが悔しいんですよね?」
シゲさんは黙り込んでしまった。
「いいんです。俺…ずっとシゲさんの本音が聞きたかったんです。だって、シゲさんはいつも『頑張れよ、荒嶋』って言うだけで、悔しいなんて言ってくれなくて…」
荒ちゃんの言葉が止まった。自分で止めたんじゃない。涙が荒ちゃんを邪魔してるんだ。
「お、俺…本当にキャッチャーでいいのか不安だったんです。シゲさんが…何もい…言ってくれないから…」