大好きな君にエールを



──side*康也──


シゲさんの腕の中で泣いて、初めて力強い腕を知った。シゲさんは俺を固く抱き締めてくれた。


甲子園で絶対に勝ち上がれと、永松の球を体当たりで受けろと、そして…プレッシャーを楽しめと。


「なーんか恥ずかしいっ。こうやって泣くとかさ」


しばらくして、目が赤いシゲさんが照れながら言った。


「いいじゃなーい、たまには。それに少しはスッキリしたんじゃない?」


実貴さんという人の問いかけに、『まぁな』と答えたシゲさん。


「さっきから泣きまくりだね、荒ちゃんっ」


俺の隣から涙の跡を残したままの麻帆が言った。いや、お前だってやばいぞ、その泣きまくった顔。


「お前もな」


「荒ちゃんよりは、マシっ」


シゲさんじゃないけど、心がスッキリしている。泣いたからかな?それともシゲさんの本音を聞けたからかな?







< 310 / 526 >

この作品をシェア

pagetop