大好きな君にエールを
だけど感じたんだ。あたしの頭に大きな手が乗せられたのが。あたしはびっくりして荒ちゃんを見上げた。
「やっと見てくれた。ったく、離れる前くらい、顔…見せろよな」
「う…うん。あ…荒ちゃぁーん」
「お、おいっ、泣くなよバカっ」
涙をボロボロと落とすあたしの髪を不器用に撫でる荒ちゃん。この心に残る言葉も、この不器用な優しさも…もうすぐお別れ。
嫌だよ、嫌だよ。もうちょっとだけ傍にいさせてよ。お願いだから時間よ止まって…。
だけど叶うことはない。それに明日が来なきゃ、荒ちゃんは甲子園を見れないんだから。
…また離れちゃう。また会えなくなるな。また…想うだけの日々に戻っちゃうなぁ。
───…荒ちゃんとの幸せな時間に終わりが来る。