大好きな君にエールを
あたしは画面中を隅々まで探していると、
「…あら?あれって…康也くんじゃない?」
『ほらっ』とあたしの肩を叩くお母さん。でもね、お母さん。あたしお母さんよりも0.5秒前に見つけてたんだよ。
画面には、背番号12番のあたしの彼氏が映っていた。
数日前に会ったばかりなのに、ユニフォームを着ているせいか、荒ちゃんが違う人に見えた。
「康也くん、さらに格好良くなったわねー」
お母さんの言葉に、あたしは自慢気に『でしょ?』と返した。
そして再び画面に目を向けると、荒ちゃんに向かってボールを投げるエースナンバーのピッチャーがいた。
もしかして、あれが荒ちゃんが言ってた永松くんかな?すごい球を投げてる。
投げる体勢になっているのかと思えば、ボールはもう荒ちゃんのグローブの中にあった。