大好きな君にエールを
「プレイボール!」
開始にぴったりな審判の掛け声に自然と緊張が高まる。
荒ちゃんがキャッチャーミットを構える。永松くんが帽子の先に手を置き頷く。バッターはバットを握りしめた。
「ストラーイクッ!」
誰がすごいのかわからない。だけど、荒ちゃんが試合にいることは確かなんだ。
ボールが荒ちゃんのミットに吸い込まれていく。バットは空(くう)を切る。
「三振!」
気がつくと、3アウトでチェンジになっていた。
荒ちゃんが永松くんとグローブで軽くタッチし合った。…きゅん。不思議と胸が締めつけられた。
荒ちゃんが甲子園にいる。夢だった、憧れだった甲子園で試合をしてるんだ。
あたしは荒ちゃんを見つめる。テレビに釘付けになって、荒ちゃんだけを見つめて応援しているよ。