大好きな君にエールを
「てゆーか荒嶋、落ち込むのはまだ早いだろ?」
真っ直ぐ前を見て話す永松。
「守備はあと4回もある。それを全て守り抜けばいい」
花龍スタンドの声援が1つに聞こえる。
「それに、2点奪われたなら、その倍の4点を奪い返せばいい」
カキーン
金属音が空いっぱいに広がった。途端にスタンドから一気に歓声が湧き起こった。
「どでかいホームランでもかっ飛ばせよ、荒嶋」
永松の言葉にかスタンドの歓声にかわからないが、胸が高鳴りだした。
「てか次、お前」
永松に言われ、バットを片手にベンチを後にした。素振りをして、バッターボックスに立つ先輩を見つめる。
“かっ飛ばせよ”
そんな言われても、な。イキナリかっ飛ばすなんて出来やしない。
それに、第1打席は三振だったんだ。バットにボールが当たるかもわからない。