大好きな君にエールを





「三振!」


肩を落とした先輩が戻ってくる。俺の肩をそっと叩いた。


バッターボックスに立つ。ピッチャーの後ろに映る『2』の数字が目に飛び込んできた。


狙え、狙うんだ、俺。


「ストラーイク!」


初球は空振り。でもまだ1球目と安心していると、ピッチャーがふっと笑った。


「ボール!」


…遊んでるのか?と思った。でもそんなのどうでもいい。俺の視界にある『2』の数字は消えないんだ。


さっきよりキツくバットを握りしめる。ピッチャーが構える。



打てる、打てる、打ってやる。



カキーン…


俺の白球が空を駆け抜けた。延びていく、延びていく…。俺の中で実況が伝えられる。


そして、白球が目がけた所は…







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