大好きな君にエールを





永松が構える。なんだか周りのものが小さく見えた。てゆうかどこからくるんだよ、あの自信は。


かっ飛ばすとか格好つけて、さ。だけど永松は、カッコつけなんかじゃなかった。


カキーン…


白球が空に虹を描くように飛んでいく。汚れているボールなのに、光る宝石に見えた。そして、


「キャー!!」

「っしゃー!!!」


永松の打ったボールは、花龍スタンドへ入った。そう、ホームランだ。永松は、本当にかっ飛ばしやがった。


有言実行をした彼は、平然とダイヤモンドを回ってベンチへ帰ってきた。


部員がハイタッチをする。監督が永松の肩を叩く。永松は少しだけふっと笑い、俺の方へ来た。


「す、すげぇな、永松…」


「そうか?今のピッチャーからなら簡単に打てる。疲れ丸見えだ」


なんて強気な永松くんだこと。


「でも、ホームランになるとは思ってなかったな」


永松がふっと笑った。







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