大好きな君にエールを





あと2人打者が回ると俺の出番。回ってきてほしいような来ないでほしいような。でも、俺の気持ちに構わず回ってきた打順。


「かっ飛ばせ」


永松に一言言われ、バットを手にした。


“かっ飛ばせ”


永松は最強、だと思う。実力でピッチャーを掴み、さらにホームランまでかっ飛ばすバッティングセンスの持ち主。


それに比べて俺は、シゲさんの思いもよらないい事故で今甲子園にいる、キャッチャーをしている、バッターボックスに立てている。


感謝?…違う、罪悪感。


「プレイ!」


自分の力で這い上がっては来れなかった悔しさが駆け巡る。


「ストライク!」


だけど何もしないで、ミスばかり披露してこの打席から去りたくない。


「ストライクッ!」


スタンドがより一層熱くなった2アウト2ストライク。でも、俺は打つ…かっ飛ばすんだ。



シゲさんへ届くように。



そして大好きな君へ届くように。





< 331 / 526 >

この作品をシェア

pagetop