大好きな君にエールを
本当のことなんだ。俺はダメダメだったんだから。でも麻帆は言ってくれた。
「荒ちゃんは頑張ったよ。頑張ったじゃん。あたしにはね、ミスとか忘れちゃうくらいに、荒ちゃんの一生懸命さがいっぱい伝わったよ?それに荒ちゃんがね、1番カッコよかったもんっ」
やべぇ、また涙腺がやばい。視界が滲んできた。
「…んなこと言っても、お菓子なんてあげねーぞ」
「お菓子なんていらないよっ。…あたしは荒ちゃんがいればいい」
俺の強がりを優しく受け止めてくれるのは、やっぱりお前だった。溢れる涙は強がりで、お前の優しさに癒された涙であって…。
ありがとう、麻帆。
「じゃ、今日はいっぱい泣いたから疲れたと思うし、ゆっくり休んでね」
麻帆は気づいていた。俺が泣いていたこと。俺は涙声に負けながら返事をして、電話を切った。
終わった。
もう2度と来ない、シゲさんとの高校野球。
俺は部員が呼びに来るまで、泣き続けた。