大好きな君にエールを
バシッ…部室に竹刀の悲鳴が響き渡った。
「ねぇ、あたしの気に入らないところ全部言ってよ」
「はぁ?」
「絢子はあたしが嫌いなんでしょ?竹刀なんか使わないで、ちゃんと口で答えてよっ」
ギリギリ…竹刀が震える。
「………悔しいの」
絢子の口が微かに動いた。あたしは耳を疑った。
「麻帆は、誰よりも剣道が上手いし、キャプテンにまでなりやがって…それが悔しいのっ」
言い終わるとキッと睨み付けてきた絢子。
「それって…」
「そうよ、嫉妬よ嫉妬。…笑いたければ笑えばいいよっ。剣道も上手くないし悪口を言ってる奴がってさっ」
「笑わないよ」
あたしは絢子の目を見た。
「笑えないよ、あたし。だって、絢子は正直に話してくれたじゃない。それにあたしは絢子の剣道姿が好きだもん」