大好きな君にエールを





夏の甲子園の予選まであと2ヶ月を切った。俺たち3年の引退が近づいてくる。


引退なんてしたくない。今が1番楽しいのに。


だけど、時は待ってはくれない。気がつけば、もう高校3年生。


パンッ


もう昨日の失敗も、もう二度と戻らない。


永松の球がストレートで俺のグローブの真ん中に吸い込まれる。


「さっきより断然良くなったな!永松っ」


「荒嶋は腰が浮いてる。下手すると立ったままボールを取ることになるぞ」


お互いがお互いの良いところ、悪いところを見つけていく。


「ありがとうっ!次からは気をつけるなっ」


簡単に治せる癖じゃない。だけど何もしないわけにはいかない。高校野球の最後の時間が迫ってきているんだから、さ。



「っしゃーっ」


再び気合いを入れた俺だった。







< 364 / 526 >

この作品をシェア

pagetop