大好きな君にエールを
夏の甲子園の予選まであと2ヶ月を切った。俺たち3年の引退が近づいてくる。
引退なんてしたくない。今が1番楽しいのに。
だけど、時は待ってはくれない。気がつけば、もう高校3年生。
パンッ
もう昨日の失敗も、もう二度と戻らない。
永松の球がストレートで俺のグローブの真ん中に吸い込まれる。
「さっきより断然良くなったな!永松っ」
「荒嶋は腰が浮いてる。下手すると立ったままボールを取ることになるぞ」
お互いがお互いの良いところ、悪いところを見つけていく。
「ありがとうっ!次からは気をつけるなっ」
簡単に治せる癖じゃない。だけど何もしないわけにはいかない。高校野球の最後の時間が迫ってきているんだから、さ。
「っしゃーっ」
再び気合いを入れた俺だった。